井上枝利奈さんのガラス
Kitchen
パート・ド・ヴェールという技法を使い、ガラス制作をされている、井上枝利奈さん。ガラスの中に色を閉じこめたかのように、淡くやわらかな光を放つ、美しい作品です。一目見ただけで魅了されてしまうような、何か特別な存在感があります。
井上さんは幼い頃から美術に興味があり、大学では文学部。イタリア美術を学ばれました。卒業後は、何かを形にしたい、という想いからガラスの専門学校へ通い、吹きガラスを習得。その後はご自分のペースでゆっくりと制作に向き合いました。
現在はご主人と共に”硝子企画舎”を立ち上げ、井上さん個人の作品づくりだけでなく、硝子企画舎の仲間と共に、ガラスにまつわる様々な制作をされています。ガラス制作に必要な設備は、個人で所有するにはなかなか厳しいため、こちらでは、大きな釜や他の機械などを仲間たちでシェアしています。また、個々のアトリエやギャラリーも併設されており、作品の発表もこちらで行われているそうです。
井上さんが用いているパート・ド・ヴェールという技法は、粘土やワックス等で原型を作り、それをもとに石膏で型を作ります。様々な色のガラスの粉に糊を加えて練ったものを型へ詰め、窯の中で焼きます。冷えたら型からガラスを取り出し、研磨して仕上げるというもの。とても多くの手間と時間がかかります。また、型から取り出してみなければ、希望の色ができているのかわからないという実験的な要素もあるため、長年の経験が頼りです。ガラスそれぞれに、焼く温度や冷める時間が違うので、この技法は特に段取りよく、計画的に進める必要があるそうです。スピーディーに作ることはできないけれど、経験を積むことで、そこはクリアになっていくのだと井上さんはおっしゃっていました。
井上さんの作品は、うつわ、フラワーベース、小箱やアクセサリーなど様々なアイテムがありますが、使い手に楽しいと感じてもらえるモノづくりをしたい、という強い思いがあります。それは、お料理を盛り付けていない時も、そこに置かれているだけで美しいと思える色合いのお皿。花を生けていなくても、佇んでいるだけで、かわいらしいと思えるフラワーベース。オブジェとして飾っておきたいペーパーウェイト…
その作品の存在感を常に感じられる井上さんの作品は、ご自身が作品に向き合ったときの「楽しい」という気持ちが、真っ直ぐに表現されています。美しさの中にある、井上さんの想いが詰まった作品を、ぜひお手に取って感じていただけたらと思います。
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