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春の鎌倉散歩

2018.4.25last updated: 2019.11.5

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春。暖かくなってきた今日この頃。
服装も身軽になってきて、気持ちのいい季節の到来ですね。
梅雨の紫陽花もきれいですが、鎌倉の山々が青々とした新緑に覆われる今の時期もおすすめです。
今回は鎌倉駅からは少し離れていますが、自然をゆったり感じられる金沢街道沿いのお散歩コースを紹介したいと思います。

鎌倉駅東口、京急バス5番乗り場よりバスに揺られて約7分。「浄妙寺」で下車。
竹寺で有名な報告寺を通り過ぎ、少し歩くと左手に見えてくるのが「旧華頂宮邸」(きゅうかちょうのみやてい)です。

旧華頂宮邸は、華頂博信侯爵邸として建てられた戦前の洋風住宅です。
その後たびたび持ち主が変わり、現在は鎌倉市が管理。平成18年に市の景観重要建築物、国の登録有形文化財に指定されました。

広々としたフランス式庭園に、西洋の建築技術が施された洋館。昭和初期の建物とは思えないほど保存状態がよく、大切に管理されているのが分かります。
普段は庭園のみですが、一年のうち春と秋の2回、それぞれ2日間だけ内部公開をしていて今回、貴重な公開日に合わせて屋内の様子を見てきましたので少しご紹介します。

玄関の敷地内には椿、紫陽花など多くの木々が植えられていて、四季の移ろいによって季節の花が楽しめそうです。今は透き通るように青々とした青紅葉(あおもみじ)がきれいでした。
旧華頂宮邸は、実際目の前にするとその存在感に圧倒されます。
ヨーロッパの民家などに見られる、西洋木造建築の技法が施され柱・梁などが外部に現れるモダンな外観が特徴的。

趣のある外灯が、建物の雰囲気をぐっと演出しています。
エントランスはやや薄暗く、ランプのやわらかい灯りが印象的。
天井は開放感のある吹き抜けで、長い階段が2階まで続いています。居間の大きな窓からは広い庭が見え、明るい自然光が部屋を明るく照らしていました。

まるで外国みたい。建物内に入った時の第一印象です。
戦前の時代に建てられたとは思えないほど、豪華な作りに驚きました。

居間から直接外に出ることができる庭園では桜、バラ、椿、紫陽花など季節の花々を楽しみながら散策ができるようになっています。春もいいですが、秋の紅葉の季節も美しい景色が期待できますね。

また、木造の建物であるがゆえ冬は冷えたことでしょう。
大理石のマントルピース(スチーム暖房器具)が幾つかの部屋に設置されていました。

格子の繊細な模様が美しく、思わず見入ってしまいました。

サンルームからも庭が望めます。ここでコーヒーを飲みながら読書でもしていたのでしょうか…。ドラマ「最後から2番目の恋」のロケ地としても使われていた旧華頂宮邸。テレビを通して見ていた憧れの場所を目の前にしながら、当時の暮らしに思いを馳せます。

絨毯敷きでモダンな階段を上がり、2階へ。
1階とは違い、より落着いた雰囲気。部屋数は9部屋ほどあるのですが、寝室やバスルームがあるため生活感が感じられます。

各部屋にある窓からはすぐ近くに木々が見え、改めて鎌倉の自然の豊かさ、美しさに気付かされます。

当時、旧華頂宮邸を設計した方は、内部から見える外の景色を計算して窓の配置を考えたのでしょうか。絶妙な窓の大きさ、配置が本当に素晴らしいのです。

部屋ごとに変わる、クラシカルな照明器具も印象的。派手すぎない、気品を感じられる作りに魅かれるものがありました。

また、部屋の仕切り板の繊細な作りには感動します。よく見ると、均一の長方形にカットした板を、木目の向きを敢えて異なった方向で組み合わせることで1枚の板に仕上げています。同じ素材でありながら、まるで模様のように見せることで木目の美しさが際立っていました。窓枠にもこの技法が施されていて、当時の職人さんの緻密に計算された仕事を見ることができます。

最後は庭の奥にある、茶室「無為庵(むいあん)」へ。

ここは華頂博信侯爵の後に住んでいた松崎氏が、東京・上大崎の自宅から門と茶室を移築したもの。茶室へ向かうにつれて庭の植物が西洋のものから椿、桜など日本のものへ変わっていく庭師さんの工夫がみられます。

お寺のような立派な門をくぐると、平屋の茶室が見えます。
山が近いからでしょうか。ここまで来ると緑、土の香りをぐっと強く感じることができます。やわらかい風が吹いて、鳥のさえずりも心地いい。

ここでお茶をたしなんだら、どんなに気持ちいいでしょう。
純和風建築が美しく、落ち着いた、静かな雰囲気を体感できる場所。
旧華頂宮邸とは違った魅力ある空間がここにはありました。

旧華頂宮邸と無為庵。1つの敷地内に和洋折衷が織り交ざることで、お互いの良さが際立っているように感じます。自然の美しさを生かし、趣向を凝らして丁寧に作られた建物を見ることができたのは、とても貴重な時間でした。
次回の建物内公開は秋。一度足を運んで欲しい、本当に素敵な場所です。

ゆっくり過ごしていたら、あっという間に時間が経っていました。
ランチは金沢街道沿いにある、隠れ家の様な一軒家カフェ「café kaeru(カフェカエル)」さんへ。

旧華頂宮邸からは、歩いて約10分。金沢街道沿いを歩き、鎌倉市立第二小学校へ続く路地を右に入ると、お店の看板が見えてきます。緑に囲まれた庭を抜け、開放的なガラス張りの店内へ。

奥のソファー席に座り、店内を見渡してみると所々にかわいいカエルの置物たちを見つけました。元々あったものもありますが、なんでも、知り合いやお客さまが旅先で見つけたカエルの置物をお土産で買ってきてくれることも多いのだとか。カウンターや本棚、庭にもカエルたちを発見し、その愛くるしさにほっこりします。

店内に流れる心地いい音楽を聴きながら、旅や鎌倉に関連する本などを眺めていると、まるで知り合いの家に来たかのようなリラックスした気分に。1人でもここなら周りを気にせずゆっくりできそう。ほっと一息できる場所です。

私たちが選んだメニューは、ビーツ、パプリカ、紫芋、トマト、かぶなどが入った「季節の野菜どんぶり」と、本日の定食「初鰹の漬け丼」。

キッチンで料理を作るのは奥さま。季節の野菜どんぶりは、新鮮な野菜の旨味がぎゅっと濃縮されていて、食材の味をいかした控えめな甘辛味がごはんによく合います。盛り付けが綺麗なのも嬉しい。
初鰹の漬け丼は鰹に生姜醤油のたれがよく染み込んでいて、ご飯との相性ばっちり。おかずの筍とわかめのおひたし、さつま芋の甘煮も絶妙な味加減です。

食後のデザートには、手作りのプリンとレアチーズケーキを選びました。
オーナーが淹れてくれるコーヒーもおすすめ。

豆は北鎌倉の「石かわ珈琲」が焙煎したものを仕入れているそうです。
美味しくいただきました。

サンルームからは、明るい陽射しが入ってきて店内を明るく照らしています。改装時、奥さま自らイメージ画を描いて作ってもらったこだわりの空間。
軒先きには藤棚があり、5月には満開の藤を楽しむことができるそうです。

奥さまが手入れをしている、緑豊かな庭も眺めながら食事ができるcafé kaeru。居心地のいい空間でゆったりした時間を過ごせば、心も体も栄養たっぷり&元気になれる、そんな素敵なカフェです。

鎌倉の中心街からちょっと離れた、春のお散歩コースはいかがでしたでしょうか。
本格的な暑さまではもう少し。気温も丁度いいこの季節にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

旧華頂宮邸

住所:神奈川県鎌倉市浄妙寺2-6-37
電話:0467-61-3477
庭園公開:月曜・火曜を除く毎日
(月曜・火曜が休日の場合は、翌平日が休園日になります)
建物公開:春・秋に年2回程度
※共に入園料は無料

café kaeru

住所:神奈川県鎌倉市二階堂936
電話:0467-23-1485
営業時間:11時〜17時
定休日:水・木曜日

MAR マル
神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-5-1
0467-24-6108
11:00-18:00 定休日なし
臨時でお休みをいただく際はお知らせいたします。
MAR online store : http://mar-store.com

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